民法等の一部を改正する法律案の概要    法務省民事局 平成31年1月

 特別養子制度の利用を促進するため,養子となる者の年齢の上限を引き上げる措置を講ずるとともに,特別養子適格の確認の審判(仮 称)の新設,特別養子縁組の成立の審判に係る規定の整備,児童相談所長が特別養子適格の確認の審判の手続に参加することができ る制度の新設等の措置を講ずる。

(1) 養子となる者の上限年齢の引上げ:民法の改正

【現行法の規律】 原則:6歳未満,例外:8歳未満(特別養子縁組成立の審判申立時) 

【見直しの概要1】(新民法第817条の5関係)

① 原則:15歳未満(特別養子縁組の審判申立時),例外:1 8歳未満(特別養子縁組成立の審判確定時)

② 養子となる者が審判時に15歳に達している場合においては, 養子となる者がその縁組に同意していなければならない。

(2)特別養子適格の確認の審判手続(仮称)の創設:

【現行法の規律】 特別養子縁組は,養親となる者の請求による家庭裁判所の審 判によって成立する。
【児童福祉の現場からの指摘】 以下の点が養親となる者の負担となっている。

① 養親となる者が,手続の申立人として,実親による監護が 不適当であることを立証したり,実親と対峙したりしなけれ ばならない。

② 縁組成立には実親の同意を要するが,実親は,縁組成立の 審判確定まで,いつでも同意を撤回することができる。

③ 実親が子を虐待をしている場合等には実親の同意は不要と なるが,終局審判まで,同意が不要か否かが分からない。

*家事事件手続法の改正

【見直しの概要2:①~③に対応】 (新家事事件手続法第164条・第164条の2関係)

 特別養子縁組を,実親の同意や実親による監護が相当でない ことを審理する第1段階の「特別養子適格の確認の審判(仮 称)」と,養親となる者が養親として適当であるか否かを審理 する第2段階の「特別養子縁組の成立の審判」の2段階の手続 で成立させることとする。 

【見直しの概要3:②に対応】 (新家事事件手続法第164条の2関係)

 実親が,第1段階の審判手続において,特別養子縁組の成立に 同意をした場合には,一定期間経過後は,これを撤回することが できないこととする。

*児童福祉法の改正 【見直しの概要4:①に対応】 (新児童福祉法第33条の6の2・第33条の6の3関係)

 児童相談所長は,第1段階の審判を自ら申し立てることができ, また,養親となる者が申し立てた場合には,その手続に参加する ことができる。

(3)1988年に特別養子縁組の制度が導入されて以降、見直しは一度もなく、初めての制度見直だ。これは、虐待などで実の親と暮らせない子が増えている社会現象、そうした子どもたちの8割が施設にいる社会実情から、できるだけ、家庭的な環境で育つ機会を得ることが望ましい。

  その機会として、特別養子縁組制度がある。法務省法制審議会の部会がまとめたこの制度がもっと活用されるための見直し案が民法等の一部改正(決定)を2019年(令和元年6月11日)に閣議決定した。対象とする子どもの年齢を現在の6歳未満から15歳未満へ引き上げるとともに、養親の負担を軽減する内容だ。

 特別養子縁組は普通養子縁組と異なり、実親との法的親子関係が消滅し、戸籍上養親の実子となる。増加傾向にあり、2017年に616件が成立した。6割が0~1歳児だ。

 だが、縁組を希望しても実現しないケースは少なくない。実親の同意が得られない、子どもが6歳を過ぎている、などが理由という。

 多くの子を救うため、見直し案が対象年齢を引き上げたことは理解できる。「15歳未満」としたのは、15歳以上は自らの意思で普通養子縁組などができると判断したためだ。

 ただ、普通養子縁組は実親との法的関係が残るため、虐待から逃げられない恐怖心を抱く子も多い。このため、見直し案は15~17歳も本人の希望がある場合などは例外的に対象とした。このような対象年齢の引き上げを歓迎できる。

 また、現在、実親では養育できないことを立証するのは養親の役割とされている。見直し案は、児童相談所長も申し立てられるようにする。そこで、児童相談所の所長が縁組を申し立てられるようになれば、養父母の負担も軽減されると実務上期待される。

だが、ある程度の年齢になった子供の場合、養父母との人間関係構築が難しいケースも考えられる。

 さらに、実親が特別養子縁組に同意して2週間たつと撤回できなくなることを盛り込んだ。現在は実親が縁組に同意した後、6カ月以上の試験養育期間を経て家庭裁判所が最終的に可否を判断するが、その間に実親が同意を撤回することを認めている。養親の負担軽減は当然だろう。

 このような制度見直しに伴い、養父母の支援や負担軽減策も課題となりそうだ、

 なぜなら、特別養子縁組に向けた実親への説得や子どもへの説明には児童相談所の職員があたることが多い。縁組が成立すると相談所の関わりは終了する。

 公的支援がなく、孤立した状態で子育てに行き詰まる養親も多い。養親に対する児童相談所や児童養護施設の継続した支援が必要だ。経済支援も含め、養親を支える制度の拡充を検討すべきだそれが特別養子縁組をいっそう広めていくことになるであろう。 (毎日新聞参照)

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