港区赤坂清和行政書士事務所,貧困,子ども,環境整備,教育の機会均等

Ⅰ.子どもの貧困対策の推進に関する法律

*子どもの貧困対策の推進に関する法律(概要)
1 第1章総則
・目的(1条)
この法律は,子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう,貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに,教育の機会均等を図るため,子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的とする。
・基本理念(2条) 子どもの貧困対策は,子ども等に対する教育の支援,生活の支援,就労の支援等の施策を,子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを旨として講ずることにより,推進されなければならない。 等
・国,地方公共団体,国民の責務(3~5条)
・政府の義務
①必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずること(6条)
②毎年,子どもの貧困の状況及び子どもの貧困対策の実施の状況の公表(7条)
2 第2章 基本的施策
・子どもの貧困対策に関する大綱(8条)
・都道府県子どもの貧困対策計画(9条)
・教育の支援(10条)
・生活の支援(11条)
・保護者に対する就労の支援(12条)
・経済的支援(13条)
・調査研究(14条)
3 第3章 子どもの貧困対策会議(15条,16条)

内閣府に特別の機関として設置

所掌事務
①大綱の案の作成
②子どもの貧困対策に関する重要事項の審議,子どもの貧困対策の実施の推進
・組織
会長 内閣総理大臣
委員会長以外の国務大臣のうちから

*子どもの貧困対策推進法
 親から子への貧困の連鎖が起きないよう、子供の貧困対策を総合的に進めることを目的とする法律。超党派の議員立法として2013年(平成25)6月に成立し、2014年1月に施行された。正式名称は「子どもの貧困対策の推進に関する法律」(平成25年法律第64号)。「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備する」と明記されている。
 
 日本の子供(18歳未満)の貧困率は、1985年(昭和60)の10.9%から2012年に16.3%と大幅に悪化。経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進34か国中で9番目に高い数値である。とくにひとり親世帯の貧困率(2012年時点)は54.6%で、数字を公表しているOECD加盟33か国中でもっとも高い。
 
今回、本法律が改正された。
 
Ⅱ.子どもの貧困対策の推進に関する法律 改正概要
                    令和元年6月19日公布
                    公布後3月以内に政令で定める日から施行
主な改正内容
1.目的・基本理念の充実
(1)目的規定に、主に以下の事項を明記する。
① 子どもの「将来」だけでなく「現在」に向けた対策であること
② 貧困解消に向けて、児童の権利条約の精神に則り推進すること
(2)基本理念に、以下の事項を明記する。
① 子どもの年齢等に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先考慮され、健やかに育成されること
② 各施策を子どもの状況に応じ包括的かつ早期に講ずること
③ 貧困の背景に様々な社会的要因があることを踏まえること

2.大綱の記載事項の拡充等

(1)大綱記載事項として、「一人親世帯の貧困率」及び「生活保護世帯に属する子どもの大学等進学率」とともに、 検証評価等の施策の推進体制を明記する。

(2) 子どもの貧困対策会議が大綱案の作成及び変更の際に、関係者の意見反映のための措置を講ずる旨を規定する。

3.市町村による貧困対策計画の策定

市町村に対し、貧困対策計画を策定する努力義務を課す。(都道府県・政令市については、既に措置済み)

4.具体的施策の趣旨の明確化等

教育支援 : 教育の機会均等が図られるべき趣旨を明確化

生活支援 : 子どもへの直接的な支援以外の支援も含む旨を強調

就労支援 : 就労後の職業生活も支援対象となる旨を明確化

調査研究 : 指標に関する研究を行う旨を明確化

5.検討規定 本法施行後5年を目途に見直す検討条項を規定する。

 子どもの貧困対策推進法については、「子供の貧困対策に対する国の責務が明記された」が、貧困率や進学率などを改善する数値目標などを盛り込み、子どもの社会における重要性を表すことも必要ではないか。もう少し踏み込んだ施策でも良かったのかもしれない。

 

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