1.国籍等に関する手続き
国籍とは | ・国家の構成メンバーのための資格であり、国民はその国籍を有する。 ・国籍に似ている概念に市民権がある(カナダ:国籍と同じ意味、アメリカ:市民権は国籍を超えるものではない)。国籍は国際法的に問題となるが、市民権は国内的な法律関係で問題となるといえる。 |
国籍の機能 | ・国際法的には、国家は、自国民に対して外交的保護の権利を、そして自国民を自国に受け入れる義務があるといわれる。 ・国内法的には①出入国・居住の権利、②参政権、③公職就任権、③財産権、⑤社会福祉保障等では、内外人の区別がある(外国人の土地所有については日本は何の制限もなく珍しい)。 |
国籍法とは | ・国籍の得喪に関する法令は各国の事情によって異なる。 ・国籍に関しては多くの国々は日本の国籍法のように特別法で規定している。 |
事例 | 1)外国人と結婚した日本人女性の国籍 EX ・スイス人男性と結婚した日本人女性の国籍は ・韓国人男性と結婚した日本人女性の国籍は ・イラン男性と日本方式で結婚した日本人女性の国籍は 2)出生と国籍 EX ・アメリカ在住の日本人夫婦の間に生まれた子の国籍は ・重国籍者が国籍留保をするには ・国籍留保の記載のある出生届が遅延した場合の子の国籍は ・国籍留保の届け出をしなかった子が国籍を再取得するには EX ・日本人父とタイ人母の間の非嫡出子が日本国籍を取得するには ・内縁関係にある日本人男性と外国人女性が出産を機に婚姻する場合に、 その子が日本国籍を取得するには ・日本人男性と韓国人女性の間に生まれてくる子(非嫡出子)の日本国籍の取得させるには 3)国籍と戸籍 EX ・出生後に日本人父から認知された子が届出により日本国籍を取得した場合 の戸籍の取り扱い ・父母がともに知れない場合の就籍は |
Ⅱ.入国管理、在留管理
「外国人の在留資格及び就労に関する事例」については、こちらからご覧ください。
*出入国記録を知るには
法務省に情報開示請求をして出入国を入手することができる。
・出入(帰)国記録は、本人(本人が未成年または成年被後見人の場合はその法定代理人)であれば誰でも、法務省に「保有個人情報開示請求」をすることができる。
→本人以外の家族、知人の居所調査を理由に開示請求を行うことはできない。
*入管法に規定のある父母との同居
EX特定研究活動または特定情報処理活動を行う外国人(以下「扶養者」)、と同居し、かつその扶養を受ける扶養者の父母及び扶養者の配偶者の父母については(高度専門職外国人またはその配偶者の父母も)、一定の条件を満たしていれば日本に呼び寄せることができる。
*入管法に規定のない父母との同居
→これら以外の在留資格者に父母と共に住むことができるという来ては存在しない。
例外:①親が70歳以上の高齢者であること②生活の面倒を見る者がいないこと③扶養者に不要能力があること等が要求されている。
Ⅲ.帰化
帰化による「国籍の取得は、国籍法4条以下に規定・
帰化には、普通帰化、簡易帰化と大帰化とがある。
普通帰化は国籍法5条に規定されている。
*法律上のポイント 普通帰化の条件
1)居住条件 | 居住条件とは「引き続き5年以上日本に住所を有すること」(国籍5Ⅰ①)です。 「引き続き」の文言:EX 10年日本に滞在している外国人→何度か来日し滞在期間の合計が10年(ex3年、3年、4年)「引き続き5年以上」という条件にあてはまらない。再入国の許可を得て、短期間の出張や親族訪問のために日本国外に出ている期間は「日本に住所を有する」ものとして算定される。 |
2)能力条件 | 能力条件とは「20歳以上で本国法によって行為能力を有すること」(国籍5Ⅰ②)です。 EX家族全員が帰化の申請をする場合、18歳の子供に関しては、実務では、帰化の申請は可能、家族全員での帰化申請においては、未成年者がいても、この行為能力条件は適用されない。 |
3)素行条件 | 素行条件とは、まさしく「素行が善良であること」と規定されています(国籍5Ⅰ③)。 EX ・何らかの犯罪を犯し、有罪の判決を受けた者、現に執行猶予を受けた者は 一定期間帰化の申請ができない。 ・道路交通法違反者(ある程度の違反事実があるばあい) ・納税義務を果たしているか(納税はしているが、適正な納税をしているか) |
4)生計条件 | 生計条件とは「事故または生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」です(国籍5Ⅰ④)。 ・自分自身あるいは他人の援助を得て日本で自活することができるかどうかです。 EX 扶養されている両親も帰化の申請が可能 「生計を一にする配偶者とその他の親族」とは、 ・いわゆる「世帯」を指すのではなく、現に同居していない家族も含む。 EX・申請者の家族とは別居していて仕送りを受けている学生も可能 ・家族で申請する場合、夫婦は大阪、18歳の子供が東京で学生生活、家族 全員(3人)が大阪で帰化の申請が可能 |
5)重 国籍 防止条件 | 重国籍防止条件とは「国籍を有せず、又は日本の国籍取得によってその国籍を失うべきこと」と規定されている(国籍5Ⅰ⑤) ・日本に帰化をしようとする外国人は、第1に無国籍者であるか、第2に日本国籍を取得することによって現在有する国籍を喪失することが、その条件である。 |
6)不法団体条件 7)日本語能力条件 | 不法団体条件とは「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することをくわだて、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと」をいおう(国籍5Ⅰ⑥) 。似たような規定(入管法5Ⅰまる11)日本の上陸を拒否される。 おおむね、小学公2年生程度の国語力が要求されます。 ・特に、最近は、この能力を重視している。 |
8) 事例 | ・帰化者たる養親の戸籍に日本人養子が入籍することの可否 ・帰化による氏名の変更に伴う各種手続きは ・帰化者が離婚の際に称していた氏を変更することはできるか |
Ⅳ.難民
*日本の難民認定制度における「難民」について
入管法における「難民」とは、難民条約及び議定書が定める「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として本国(無国籍者にあっては常居所国)において迫害を受ける十分に根拠のあるおそれが存在し、そのために外国に逃れている者であって、そのようなおそれのために本国の保護を受けることができず又は戻ることを望まないもの(無国籍者にあっては常居所国)へ戻ることができず又は戻ることを望まないもの)」という(入管2 3の2)。」、日本においては「迫害を受けるおそれがある」ことが重要な要素となる。
・保護を必要としている避難民であってもその避難民の原因が、戦争、天才、貧困、飢饉等にあって、それから逃れてくる人々については、難民条約および議定書にいう「難民」に該当するとはいえない。