Ⅰ.成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29号)

 高齢化社会の到来と単独世帯の高齢者が増加していることから成年後見制度の利用を促
進する必要性と従来の成年後見制度の問題点や後見人による不正の多発などに対応するための法律である。

なぜなら、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理や日常生活等に支障がある人たちを社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊の課題であります。しかし、成年後見制度はこれらの人たちを支える重要な手段であるにもかかわらず十分に利用されていません。

 これに鑑み、成年後見制度の利用の促進に関する法律が平成28年4月15日に公布され、同年5月13日に施行されました。本法律では、その基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、また、基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進委員会を設置すること等により、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するとされ、平成29年3月24日に成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定されました。

*厚生労働省の取り組み

 平成30年4月より厚生労働省は成年後見制度利用促進室を設置し、成年後見制度利用促進基本計画に基づき、これらの施策を総合的かつ計画的に推進してます。

Ⅱ.成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案の概要

 成年後見人制度は、2000年(平成12年)の民法改正により、ⅰ)自己決定権の尊重、ⅱ)ノーマライゼーション等の理念、ⅲ)本人保護のの理念との調和を旨とする制度として、従前の禁治産者・準禁治産者制度に代わって発足した制度である。従前の禁治産者・準禁治産制度と同様に、地方公務員法や弁護士法等の資格や免許をきりつする法律において、成年被後見人となったことを「欠格事由」とする規定が残されていた。そこで、成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29号)に基づく措置として、成年被後見人及び被保佐人(成年被後 見人等)の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、成年被後見人等に係る欠格条項その 他の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための措置を講ずる。

【改正内容】

 成年被後見人等を資格・職種・業務等から一律に排除する規定等(欠格条項)を設けている各制度について、心身の 故障等の状況を個別的、実質的に審査し、各制度ごとに必要な能力の有無を判断する規定(個別審査規定)へと適正 化するとともに、所要の手続規定を整備する(180法律程度)。

(1)公務員等 : 国家公務員法、自衛隊法等 ⇒原則として現行の欠格条項を単純削除。 ※現行制度において、採用時に試験や面接等により適格性を判断し、その後、心身の故障等により職務を行うことが難しい場合においても病気休 職、分限などの規定が既に整備されている。
(2)士業等 : 弁護士法、医師法等 ⇒原則として現行の欠格条項の削除を行い、併せて個別審査規定を整備。なお、就任時に試験や個別審査規定により適格性を判断し、 その後、心身の故障等により職務を行うことが難しい場合の登録の取消しなどの規定が既に整備されている場合、現行の欠格条項 を単純削除。
(3)法人役員等 : 医療法(医療法人)、信用金庫法(信用金庫)等 ⇒原則として役員の欠格事由から成年被後見人等を削除し、併せて個別審査規定を整備。なお、個別審査規定が既に整備されている 場合、役員の欠格事由から成年被後見人等を単純削除。
(4)営業許可等 : 貸金業法(貸金業の登録)、建設業法(建設業の許可)等 ⇒原則として現行の欠格条項の削除を行い、併せて個別審査規定を整備。なお、個別審査規定が既に整備されている場合、現行の欠 格条項を単純削除。
(5)法人営業許可等 ⇒ 上記(4)と同様
【施行期日】

①欠格条項を削除するのみのもの→原則として公布の日

②府省令等の整備が必要なもの→原則として公布の日から3月

③地方公共団体の条例等又はその他関係機関の規則等の整備が必要なもの→原則として公布の日から6月

④上記により難い場合→個別に定める日 ※建築士法:平成30年12月1日

以上、第198回通常国会において、本法律が2019年(令和元年)6月7日に成立した。
 
 なお、本法成立後においても、124の法律に関し、各政省令等において、新たに「心身の故障により業務を適正に行うことができない」などの場合に権利を制限する旨の個別審査規定を設けることが予定されている。
したがって、この規定の運用においては、ⅰ)障碍者のある者が不当な権利制限を受けないようにするという趣旨
ⅱ)障碍者の権利に関する条約、障害者基本法及び障碍者差別解消法の趣旨、に抵触することのないよう、適正にかつ実質的にされなけばならない。 
 
営業許可等 行政書士の取引先に要注意

・あへん法(けしの栽培許可)
・移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律
(骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業許可ほか)
・医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
(医薬品等の製造販売業許可ほか)
・インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律
(インターネット異性紹介事業の届出)
・衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律
(衛星リモートセンシング装置の使用許可ほか)
・液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律
(液化石油ガス販売事業登録ほか)
・外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律
(技能実習計画の認定ほか)
・化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質製造事業許可ほか)
・化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(特定物質製造許可ほか)
・核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(加工事業許可ほか)
・貸金業法(貸金業登録)
・家畜商法(家畜商免許)
・家畜伝染病予防法(家畜伝染病病原体所持の許可)
・火薬類取締法(製造販売営業の許可)
・感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(二種病原体等の所持の許可)
・行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律
(行政機関非識別加工情報をその用に供して行う事業に関する提案を行う者)
・競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(官民競争入札への参加)
・金融商品取引法(金融商品取引業者の登録ほか)
・空港法(空港機能施設事業者の指定)
・クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律(所持の許可)
・警備業法(警備業を営む者の認定ほか)
・建設業法(建設業の許可)
・建設労働者の雇用の改善等に関する法律(事業主団体の認定ほか)
・建築基準法(指定確認検査機関の指定ほか)
・建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律
(登録建築物エネルギー消費性能判定機関の登録ほか)
・高圧ガス保安法(製造の許可ほか)
・高齢者の居住の安定確保に関する法律(サービス付き高齢者向け住宅事業の登録)
・港湾労働法(港湾労働者派遣事業の許可ほか)
・国際観光ホテル整備法(外客宿泊施設の登録)

 

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