港区赤坂清和行政書士事務所,第三国定住

(1)第三国定住

 第三国定住とは、すでに母国を逃れて難民となっているが、
一次避難国では保護を受けられない人を他国(第三国)が受け入れる制度です。
難民は、避難先の国から第三国に移動することにより、保護を受けることができ、
長期的に定住することが可能になります。

(2)従来の難民受け入れ

従来日本が受け入れてきた難民は、大きく二つのグループがあります。
1981年に加入した難民条約に基づく難民(条約難民)と、
政治的措置により受け入れたインドシナ難民です。

【条約難民】 
難民条約により定義された難民。難民条約では、
「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であること
または政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという、
十分に理由のある恐怖があるために国籍国の外にいる人で
、国籍国の保護を受けられない人、または保護を望まない人」と定義。

【インドシナ難民】 
ベトナム戦争により母国を脱出し難民となった人々。
加えて、ラオス・カンボジアからの難民も含む。
1975年に初めてボートピープルが日本上陸。
当時、難民条約未加入であった日本は、
政治的措置としてインドシナ難民の一時滞在を認め、
その後閣議了解により受け入れを決めた。

(3)今回の閣議了解案(令和元年6月28日)

*現行閣議了解(H26.1.24)からの主な変更ポイント

「第三国定住による難民の受け入れの実施について」の一部変更(了解)は、第三国定住による難民の受入れ事業の対象の拡大等に係る検討会による検討結果を踏まえ, 第三国定住事業による難民受入れの対象及び規模を拡大を了解したものである。

      変更前    変更後

受入対象 

マレーシアに一時滞在するミャンマー難民 アジア地域に一時滞在する難民
家族呼び寄せ タイの難民キャンプから受け入れた難民の親族第三国定住により受け入れた難民の親族
 
(4)第三国定住難民受入れに関する具体的措置(案)
*現行決定(H26.1.24・H29.6.30一部改正)からの主な変更ポイント 
受入れの対象,国,人数等 (難民対策連絡調整会議にて決定)
 
   
受入対象マレーシアに一時滞在するミャンマー難民アジア地域に一時滞在する難民(受入対象国は会議にて検討・決定)
受入規模年1回,約30名の範囲内年1~2回年に約60人の範囲内
受入単位家族単位家族単位での受入れに加えて単身者も受入れ
家族呼び寄せタイの難民キャンプから受け入れた難民の親族第三国定住により受け入れた難民の親族
定住支援等について

○国内での積極的な広報活動
 第三国定住難民に対する理解を得るとともに,円滑な定住支援策等の実施を促す。

関係者間の情報共有と連携
  定住支援の目的や各関係者の役割等につき必要な周知を行い,地域関係者との連携を強化。
○定住支援の終期等:
 第三国定住難民に対する特別の日本語学習支援,生活支援の継続期間は5年程度を基本とする。 

③ 今後の第三国定住による難民受入れについて
○将来的な受入人数や受入れ体制の在り方等については,難民対策連絡調整会議において検討を行い,本閣議了解に基づく 受入れ実施後5年を目処として必要な措置を講じる。

(5)意義と課題

 第三国定住は、保護を必要としている難民への解決策として有効である。今回の受入は前向きな対応であろう。

しかし、日本社会で難民が自立して暮らしていくためには、多くの課題があります。実際、第1陣の受け入れに際しては、当初半年間の研修以降の、日本語教育を含む継続的なサポートが不十分であったことから、一部家族の定着には時間を要しています。

、日本の第三国定住受け入れに関して、いくつかの課題もある。
(加えて、すでに日本にいる難民(条約難民)の状況・受け入れ制度の改善も必要であろう。)(認定NPO法人難民支援協会(JRA)ホームページ参照)

何かご意見がありましたら、「フォーム」よりご連絡ください。