(1)査証では、中立な 技術専門家が、被疑侵害者の工場等に立ち入り、特許権の侵害立証に必要な調査を行い、裁判所に報告書を提出するというものです。
(2) 損害賠償額算定方法では、①侵害者が販売した数量のうち、特許権者の生産能力等を超えるとして賠償が否定されていた部分について、侵害者にライセンスしたとみなして、損害賠償を請求可能とし、② ライセンス料相当額による損害賠償額の算定に当たり、特許権侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できる旨を明記するとのこと。
意匠法の一部改正では、(1)保護対象の拡大、(2)関連意匠制度の見直し、(3)意匠権の存続期間の変更、(4)意匠登録出願手続の簡素化、(5)間接侵害規定の拡充とのことです。
(1)保護対象の拡大では、物品に記録・表示されていない画像や、建築物の外観・内装のデザインを、新たに意匠法の保護対象とするとのこと。
(2)関連意匠制度の見直しでは、本意匠に類似する関連意匠の出願可能期間を、 本意匠の登録の公表日まで(8か月程度)から、本意匠の出願日から10年以内までに延長し、関連意匠にのみ類似する意匠の登録を認めるとのこと。
この改正により、権利者側及び意匠権の範囲の拡大が容易になり、意匠戦略を立てやすく、有利に働く内容になっているのではないかと思うが、経済産業省が出した「特許法等の一部を改正する法律の概要」令和元年5月経済産業省で確認する。
1.法律改正の趣旨
デジタル革命により業種の垣根が崩れ、オープンイノベーションが進む中、中小・ベンチャー企業等が優れた技術を活かして飛躍するチャンスが拡大するとともに、優良な顧客体験が競争力の源泉となってきている。
このような変化を踏まえて、特許等の権利によって、紛争が起きても、大切な技術等を十分に守れるよう、産業財産権に関する訴訟制度を改善するとともに、デジタル技術を活用したデザインの保護や、ブランド構築等のため、意匠制度等を強化する。
2法律改正の概要
(1)特許法の一部改正
① 中立な技術専門家が現地調査を行う制度(査証)の創設
特許権の侵害の可能性がある場合、中立な技術専門家が、被疑侵害者の工場等に立ち入り、特許権の侵害立証に必要な調査を行い、裁判所に報告書を提出する制度を創設する。
② 損害賠償額算定方法の見直し
(ⅰ)侵害者が得た利益のうち、
特許権者の生産能力等を超えるとして賠償が否定されていた部分について、侵害者にライセンスしたとみなして、損害賠償を請求できることとする。
(ⅱ)ライセンス料相当額による損害賠償額の算定に当たり、
特許権侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できる旨を明記する。
※②については実用新案法、意匠法及び商標法において同旨の改正を実施。
(2)意匠法の一部改正
① 保護対象の拡充
物品に記録・表示されていない画像や、建築物の外観・内装のデザインを、新たに意匠法の保護対象とする。
② 関連意匠制度 ※の見直し
※自己の出願した意匠又は自己の登録意匠(本意匠)に類似する意匠の登録を認める制度
一貫したコンセプトに基づき開発されたデザインを保護可能とするため、
(ⅰ)関連意匠の出願可能期間を、本意匠の登録の公表日まで(8 か月程度)
から、本意匠の出願日から 10 年以内までに延長する。
(ⅱ)関連意匠にのみ類似する意匠の登録を認める。
③ 意匠権の存続期間の変更
「登録日から 20 年」から「出願日から 25 年」に変更する。
④ 意匠登録出願手続の簡素化
(ⅰ)複数の意匠の一括出願を認める。
(ⅱ)物品の名称を柔軟に記載できることとするため、物品の区分を廃止する。
⑤ 間接侵害 ※規定の拡充
※侵害を誘発する蓋然性が極めて高い予備的・幇助的行為を侵害とみなす制度
「その物品等がその意匠の実施に用いられることを知っていること」等の主観的要素を規定することにより、取り締まりを回避する目的で侵害品を構成部品に分割して製造・輸入等する行為を取り締まれるようにする。
(3)その他
公益団体等(自治体、大学等)が自身を表示する著名な商標権のライセンスを認める等の措置を講ずる。
一部の規定を除き、公布の日から起算して 1 年を超えない範囲内において政令で定める日
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