東京都港区,清和行政書士事務所,認知症と生前対策

 

認知症と生前対策ー問題の所在(ある事例)

 
*アパート経営の高齢者の方の相続対策の恐れ

1.相続対策は、親が認知症になる前に

2.認知症になると意思能力がないと判断され、その法律行為が無効とされてしまう

  この問題は、今後の日本における大きな問題となるテーマであると思います。単に裕福な高齢者の場合と思わずに、本テーマを考えてみます。

 日本の高齢者の方々は日本の高度成長時代、経済の安定性があった時代であり、投資という言葉に日本人が好きな不動産を噛みした内容の投資が日常のように宣伝されていた時代があります。それは、アパート経営です。サラーマンが大家さんなどサラリーマンの副収入で金利の低い時は1棟を基にして、マンションやアパートを購入しました。現在も不動産投資で、都心部の高利回りの賃貸不動産経営、民泊をするためでなく民泊投資のための不動産購入及び賃貸の場合、民泊から得る収入から不動産を購入した場合の利息及び借り入れ賃料などを差し引いた収入が利益となるという手法の投資の勧誘も投資会社が組成して販売している。このように、現在生きている健康な方は問題は生じないが、現在の政府の金融政策0金利を思えば当たり前の行動のように思います。それは裕福な方だけでなく、自分の将来の財政状態を考えた優良なサラリーマンなどが多く参加しているのではないでしょうか。

すると何が問題なのかということです。

その問題を考えるうえで、我々法律家も、他所事、事件の1つくらいのことでは済まないからです。その思いを生じさせるのは、「認知症」という病気です。

 認知症は、現在4つのタイプがありますが、その60%を占めると言われるアルツハイマー型認知症が最も知られています。他はレビー小体型認知症が20%があります。ではなぜ、認知症が問題なのでしょうか。2015年には700万人が正規の患者であり潜在的な方は1000万人を超えると言われています。すなわち、日本の65歳以上の人口の四分の一、そして、治療方法もまだ確かな処方がないと言われています。

ではなぜ問題なのでしょう。

 認知症になると意思能力がないと判断され、その法律行為が無効とされるということなのです。すなわち、相続に関しては法律行為がほとんどです。例えば、遺言、遺産分割協議などこれらの行為はすべて法律行為として無効となるのです。確かに、認知症も程度の低い時の行為は認められるケースは判例上在りますが、それは稀有な場合で、ほとんど認知症=意思能力がない場合と認定されます。

 そうすると、その時に行った預金口座、株式投資、不動産投資などにようる収入の出し入れは、本人ができないため、法定後見人というかて裁判所が選任した後見人がお金の出し入れを裁判所の許可のもとに行います。

 このような金銭の出し入れについて、大きな制限がかかってきます。相続人の方々については、親の健康のことを思い病院に連れていったけれど、医者の「認知症です」と言われたといきから、ご両親の法律行為に影響が出て来るのです。これはやや誇張気味に表現しましたが、家庭裁判所専任の他人の後見人がご両親の財産関係すべてを管理するのです。このことは、認知症の宣言を受けていない配偶者がいるから大丈夫じゃないんです(ex父が認知症、母は健康)。

 特に将来を考えてマンション・アパートなど不動産投資で高額の資産を残した方々に主に直面する問題なのです。また、その場合に不動産投資で負債を残している場合には、相続放棄など新たな問題に直面することになります。

 従って、清和行政書士事務所は、このような認知症の前段階から相続が発生までの生前の対策が重要だと考えていますので、「認知症と生前対策」をテーマとして取り上げます。

 すなわち、認知症になる前にご家族で真剣に将来のことを考えて戴き、書面に残しておく作業が必要なのです。今後問題における対策を述べていきたいと思います。

 弊所は、皆さまの声に真摯に取り組みます。

詳細は参考記事をご覧ください

なお、この参考記事は、現役の税理士法人の代表者の体験記事です。

我々士業でさえ、自分の親のことになると、法律を知らない方々と同じ間違いをしてしまうのです。このことは、当職も同じかも知れません。ぜひ、ご参考にお読みいただければ幸いです。

<参考記事> 

父が認知症に…資産10億円超の相続対策が手遅れになったワケ
髙原 誠2019.5.5任意後見家族信託成年後見制度相続税
https://gentosha-go.com/articles/-/21052

相続対策は、親が認知症になる前にしておかなければなりません。
「相続対策」と銘打つものは、そのほとんどが法律行為であり、
認知症になると意思能力がないと判断され、その法律行為が無効とされてしまうためです。
本記事では、年間700件の相続税申告・減額・還付業務を取り扱う、
フジ相続税理士法人・代表社員の髙原誠税理士が、認知症対策を怠ったことで、
先祖から受け継いだ財産を大きく減らしてしまった失敗例を紹介します。

認知症になると「法律行為全般」が無効と判断される
東京都にお住まいの賀来さま(仮名)のお家は、同地で古くから続く地主です。賀来さまのお父さまは、大通りに面する100坪の自宅や複数の土地、アパート、神奈川の山奥に山林などを所有しており、資産総額は10億円を超えます。

 賀来さまのお父さまはもっぱらアパート経営で生計を立てられ、その管理は近くの不動産会社に任せており、普段は、近くの公園を散歩したり、テレビを見たりして、悠々自適な生活を送っていました。

しかし、80歳を過ぎたころから物忘れが激しくなり、同じことを何度も繰り返すようになりました。「おかしい」と思った賀来さまのお母さまは、お父さまを病院に連れていくと、医師から「認知症」を告げられました。さらに悪いことに、リハビリの一環として公園に出かけたとき、石につまずいて転倒、大腿骨を骨折してしまい、それがもとで寝たきりになってしまいました。

 そのような状態のなか、相続のことが気になった賀来さまは、筆者のところにご相談にいらっしゃいました。まず事務所で概要を伺い、続いて、ご自宅にも訪問しました。ご自宅では、お父さまと会話を試みましたが、思うようにコミュニケーションがとれません。衣食住、介護者の支援がないとままならない状況が見てとれました。

これを踏まえ、賀来さまには、あらかじめいただいていた財産資料を基に計算した、予想相続税額を提示したうえで、「相続財産のなかには不動産が多く、納税資金の不足が見込まれます。ただし、大変申し訳ありませんが、認知症である以上、具体的な対策をご提案することは難しいです」と申し上げました。

 今回の相続によって、賀来さまは不動産の多くを手放すことになり、財産を減らすことになってしまいました。相続対策は、相続が発生する前にするものですが、正確には、被相続人となる者が「認知症になる前に」しておかねばなりません。相続対策は、親が元気なうちに始めるのが重要だということを、この事例は教えてくれています。

髙原 誠

フジ総合グループ/フジ相続税理士法人 代表社員

税理士