認知症と生前対策-問題の所在(事例2)

 
1.認知症=意思能力がない

  一般に、認知症になると、意思能力がないと判断され、「金融機関の預貯金の引き出し、解約」「不動産の建築、売買契約」「賃貸借契約」「贈与契約」「生命保険への加入」といった法律行為全般が無効と判断されます。すなわち、日用品の購入その他日常生活に関する行為以外はできないことになります。つまり、コンビニで買い物をしたり、支払いをする限りでは認められています。

2.成年後見制度

 こうした本人の法律行為を支援するための制度としては、さまざまなものがありますが、認知症になってから利用できるものは「法定後見」しかありません。これは「成年後見制度」(※)のひとつで、「本人の身上監護を通じた人権保護」を趣旨とする同制度の方針が厳密に適用されるため、「被後見人(本人)名義の土地を担保にローンを組み、土地に建っているアパートを建て替える」など、「被後見人の財産を積極的に運用する」ことは、原則として認められません。そのため、多くのケースで財産が塩漬け状態になり、相続対策を講じることが、ほとんど不可能になってしまいます。

(※)成年後見制度・・・認知症などによって意思能力が衰えた場合に、本人に代わって、財産の管理や契約等の法律行為を行う者を定め、本人を支援する制度。これによって、法律行為の継続が可能となり、生活の利便維持が期待できる。

 次回より具体的対策を挙げていきたいと思います。