認知症と生前対策-法的構成(総論)

 
 
 本コーナー(1)(2)の事例を通して述べたつもりでいるが、もう少し法的視点の中で生前対策を整理してみたい。
 
1.高齢者の財産を節税対策として考えるばあい
 
2.高齢者の財産を相続人に争いを残さずに考えるばあい
 
3.高齢者の財産を相続人が不在のばあい
 
4.高齢者の財産を障がいを有する相続人のために安心して任せるばあい
 
5.高齢者の財産を家族同様のペットのために使いたいばあい
 
6.高齢者の財産を寄附など一定の目的をもって費やしたいばあい
 
7.高齢者の財産を自分の将来のために使いたいばあい
 
8.高齢者の財産を自分の死後の事務のために使いたいばあい
 
9.高齢者の事業を安心して家族に引き継ぐばあい
 
などが生前の高齢者に直面する事例でないかと思います。
 
しかし、これらの高齢者の直面する事例にもう一つ加えることが清和から提案する生前対策です。
つまり、今後の日本の人口構成のなかで、2025年には700万人の認知症患者が病院で診断された方で、そうでない方を含めると1000万人以上の認知症患者がいると予想されています。
そこで、なぜ、認知症という医学的症状を法的構成の中に含めるのか、が疑問になりますが、これは、民法上重大な規定であります、行為能力、意思能力の問題につながるからです。つまり、認知症の方は、意思能力がない方と見なされ、その方が行った法律行為は無効となるからです。
 
このことは、すでに説明しました。
 
 また、生前の高齢者が、認知症と診断されたばあい、後見人制度のこともご説明しました。
それは、認知症と診断されたのちに後見人を選任する場合には、家庭裁判所が弁護士・司法書士・社会福祉士・行政書士など法定後見人を選任します。この場合には、高齢者の財産を家族は都合で処分管理することができず、急な必要な費用の出費など、家族の対応が困ることが見られます。そこで、認知症と診断される前に、任意に財産管理の代理人をする方は任意後見人と言われ、生前家族を含めて、財産管理を相談することができるため、急な必要な出費に対応することが可能です。(後見人制度の詳細は別枠で行います。)
 
ここまでは、すでに説明しました。
 
 そこで、認知症が高齢者の生前対策のキーワードに上げられると思います。先述しました1から9までの生前の事例は認知症を前提にしておりませんが、生前に起こり得る事例であり、法的構成が可能だと思います。したがって、高齢者の方々が1から9までの生前の事例を取り組むためには、認知症というキーワードを忘れることが出来ないのではないでしょうか。高齢者の方々の第2の人生のためにも必要だと思います。
 
 弊所は、生前対策が高齢者だけのものとは考えているわけではありません。現在40歳以上の方も若年性アルツハイマー型認知症の方も多くおられます。
したがって、とても広汎な人口構成のなかで見られる病であり、年齢に応じた対応をすべき時が来ると思料しております。
しかし、相対的に統計的に表示されている65歳以上の高齢者に対する認知症の割合は四分の一とされており、高齢者の方の人生計画のためにも生前対策という掲題をつけさせて戴いています。
 
 今後個別の法的取り組みについて述べていく予定であります。