2019/9/17

高齢者の交通事故と相続放棄

*高齢者の交通事故と相続

ex高齢者の親が人を轢いた場合、損害賠償債務はどうなるのか

<ポイント>

1.事故を起こした老親は、刑事と民事の両方で責任を問われる。

2.刑事責任を問われる親のケア

「死亡事故の場合、特別な事情がないかぎり加害者はほぼ逮捕されます。親が勾留されれば、面会や弁護士の手配に奔走しなければなりません。また、示談が成立すれば刑事の量刑も軽くなる傾向があるため、親の代わりに被害者や遺族への直接の謝罪が必要となることも。門前払いされるケースも多く、精神的に疲弊します。実刑、収監ともなれば、なおさらでしょう」(弁護士は実態をこう明かします。)

3.民事責任

 親は年金暮らしで、賠償金を払いたくても払えない。

→自己破産させればいいと考えるかもしれない

 破産法第253条1項で、「悪意で加えた不法行為」や「故意や重い過失により加えた人の生命や身体を害する不法行為」に基づく損害賠償債務は免責されないことが定められている。

4.損害賠償債務は相続の対象で、親が亡くなれば相続人が引き継ぎます。

→子に直接影響が出るのは、親が損害賠償を払い終える前に死亡したときだ。

5.引き継ぎたくなければ、相続の放棄も可能です。

→相続放棄できる場合も、親戚との関係に注意が必要です。

*父の損害賠償債務、死後母と子が相続放棄したら?代襲相続の問題です。

      損害賠償債務を負う人
 ①祖父母がいる         祖父母
 ②祖父母がいない        おじ・おば
 ③おじ・おばもいない         いとこ
 ④いとこもいない     債務者不在で、債務が事実上消滅
 
*特定人への相続について
ex日頃から兄弟でお父さんが亡くなったら長男がすべてを相続するといってそれを暗黙のうちにそにように思っていたような場合に、お父さんの車により人を轢いてしまい、損害賠償債務を負ったばあい、
 :長男だけで相続されるわけではありません。
 このことは債権者には関係ありませんので、長男以外の兄妹も返済義務を負いますのでご注意ください。 

 これは、高齢者が車で事故を起こし場合の相続トラブルであるが、高齢者の親の子供たちが、相続の放棄についてにお知識を知っているかどうかだろう。

とくに、知らないで自分だけの問題として逃げようととしたら、大変な争族になりかねない。

したがって、我々は、相続の損害賠償債務の相続については、注意深く相続人に説明をする。たとえ、その相続人には直接関係ないことであっても、同様です。

これは、例えば、競馬、パチンコなどギャンブルのために借財をしていた場合、個人事業主が事業上の借財をしていた場合でも債務も相続として承継されます。

今回は砂金紙面を賑わしている高齢者の交通事故により人を轢い場合の損害賠償債務ですが、高齢者の自動車運転については、様々な意見があると思われますが、単純に高齢者は運転をすべきではないなどとの結論を出すの早急だと思う。

自動車が必要な地域、環境にいる高齢者にとっての、公共機関の足は車しかないところも数多く見受けられます。したがって、より、高齢者だからではなく、地域、環境など行政の細かい調査のうえで、単に趣味で運転して事故を起こす場合とは違うことが予見されます。

そこで、免許証の返納を状況を吟味することなく、法的問題だけでけっろんをだすことは早計のように思います。法的問題を知ることは確かに予防にはつながることは、我々承知の上ですが、高齢者が乗る車については、車自体の構造上のことも含めて検討すべきではないか。

ふとこのようなことを思い綴ってみました。

詳細は参考記事をごらんください。

<参考記事>

高齢の親が人を轢いた場合 損害賠償債務を巡る相続のトラブル

2019年9月16日 11時15分
ざっくり言うと
高齢の親が車で事故を起こした場合の相続トラブルについて、解説している
親が損害賠償を払い終える前に死亡した場合、損害賠償債務は子が引き継ぐ
相続放棄した場合はおじ、おばなどにも移るため、親戚との関係に注意が必要
「老親が人を轢いた」で起きる泥沼相続トラブル
2019年9月16日 11時15分 プレジデントオンライン
■自己破産したらどうなるか
高齢者の運転ミスによる交通事故が相次いで報道されている。被害者やその家族は悲痛な思いだろうが、加害者の家族も心穏やかではいられない。老親が事故を起こした場合、子も巻き込まれて不利益を被るおそれがあるからだ。

写真=省略しています
事故を起こした老親は、刑事と民事の両方で責任を問われる。子がまず対応しなければならないのは、刑事責任を問われる親のケアだ。萩生田彩弁護士は実態をこう明かす。

「死亡事故の場合、特別な事情がないかぎり加害者はほぼ逮捕されます。親が勾留されれば、面会や弁護士の手配に奔走しなければなりません。また、示談が成立すれば刑事の量刑も軽くなる傾向があるため、親の代わりに被害者や遺族への直接の謝罪が必要となることも。門前払いされるケースも多く、精神的に疲弊します。実刑、収監ともなれば、なおさらでしょう」

さらに怖いのは民事責任だ。たとえば民事で1億円の損害賠償責任を負ったとしよう。親は年金暮らしで、賠償金を払いたくても払えない。自己破産させればいいと考えるかもしれないが、そうは問屋が卸さない。破産法第253条1項で、「悪意で加えた不法行為」や「故意や重い過失により加えた人の生命や身体を害する不法行為」に基づく損害賠償債務は免責されないことが定められている。

「飲酒運転や無免許による事故は当然、免責されません。高齢者講習で問題が見つかったのに免許を返納せず事故を起こした場合も、重過失があったと判断される可能性が高い」

■損害賠償債務は子が引き継ぐ
子に直接影響が出るのは、親が損害賠償を払い終える前に死亡したときだ。損害賠償債務は相続の対象で、親が亡くなれば相続人が引き継ぐ。

引き継ぎたくなければ、相続の放棄も可能だ。ただし、債務だけを放棄することはできず、放棄するならプラスの財産の相続も諦める必要がある。親の財産と関係のない生活をしているなら放棄しても問題ないが、親名義や共同名義の家で暮らしているようなケースでは、それも困難だ。

相続放棄できる場合も、親戚との関係に注意が必要だ。

「子が相続を放棄すれば、相続順位に従って相続人は親の親(祖父母)、あるいは親の兄弟姉妹(おじ、おば)に移ります。祖父母が故人で子が相続を放棄すれば、債務はおじやおばに。おじやおばが故人なら、その子であるいとこが代襲相続で債務を引き継ぎます。トラブルになりやすいので、よく話し合ってください」


ちなみに債務を特定の相続人に寄せるのも不可だ。たとえば「長男が家を継ぐから債務も長男に」と相続人の間で取り決めることは可能だが、債権者である被害者にはその取り決めは関係がなく、次男も損害賠償の支払いを求められたら応じなくてはいけない。

自分の暮らしを守るためにも、免許を返納するよう親を説得したいところだ。

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村上 敬(むらかみ・けい)
ジャーナリスト
ビジネス誌を中心に、経営論、自己啓発、法律問題など、幅広い分野で取材・執筆活動を展開。スタートアップから日本を代表する大企業まで、経営者インタビューは年間50本を超える。
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(ジャーナリスト 村上 敬 コメンテーター= NEXTi法律会計事務所 代表弁護士 萩生田 彩 図版作成=大橋昭一)

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