2019/9/21

離婚・離縁ー2.協議離婚申入書

*離婚・離縁についての法的対応
 
2.協議離婚申入書
 
1)ご夫婦が別居され、5年の歳月が流れ、その間、当事者間にて話し合いが繰り返されたが、未だ合意に達していない場合です。
 
<ポイント>
・協議したい事項の内容、すべてについて事前に整理しておく。
・円満に話し合い、離婚への合意に至りたい旨を伝える。
 
ex協議の内容
1.慰謝料について
 
2.財産分与について
 
3.子の親権者、監護者について
 
4.子の養育費について
 
5.家財道具について
 
<参照条文>
民法
第762条(夫婦間における財産の帰属)
第763条(協議上の離婚)
第766条(離婚後の子の監護に関する事項を定め等)
第768条(財産分与)
 
 ここでご説明をしているのは、あくまでも御当事者の協議離婚の申入れをする場合の最低限の事項をあげております。このことにより、紛争等に発展する場合には、弁護士にご相談してください。当事者間で円満な解決を期待したい場面です。
 
2)奥様が実家に帰って、6か月以上立ち、数度の話し合いを求めましたが、奥様がそれに応じず、ご主人の方から協議の申し入れをする場合です。
 
これは、話し合いの機会をつくるためにする申し入れです。
ここで、気をつけることは、ご主人がこの機会に応じないならば、弁護士を入れた法的措置を取りますと書面に記載することです。
これによって、奥様も弁護士を立てた話し合いに進みます。
 
 このことによって、双方が弁護士を立てた争いごとになり、調停、裁判と泥沼するケースでしょう。このような離婚の申込みをするケースは、事情が少し複雑になっていることが予想されます。例えば、どちらかに、交際相手がいる、子どもがいないなど、その事情の影響でつい強い表現が見えてきます。
 
 離婚はいずれにしてもエネルギーを使います。二度としたくないものです。
円満に解決できれば、前向きの人生をお互いが進むことができます。
 
②A.協議の申し入れに対して応じる場合です。
ここでは、申し入れに応ずるための条件を提示することが必要です。
話し合いの席で、混乱を生じないように、協議事項は相手方が事前に検討できるように具体的に書面に書くことが必要です。
ⅰ)慰謝料について
ⅱ)子の親権者、監護者について
ⅲ)子の養育費について
ⅳ)財産分与について*
*婚姻後に取得された土地建物など不動産の時価評価額の二分の一に相当する金額の請求も含む
ⅴ)家財道具について*
*婚姻後に取得した家財道具類についてもどちらが引き取るのかを話し合う
 
<参照条文>
民法
第762条(夫婦間における財産の帰属)
1.夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう)とする。
2.夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
第763条(協議上の離婚)
第786条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第768条(財産分与)
 
②B.協議の申し入れに拒絶する場合
 これは、いまだどうすべきか、奥様の考えがまとまらないため、現時点での協議には応じることができないと返事をする場合です。
この場合、先方は、拒絶した場合には弁護士を立て法的措置をとることを記載していますので、奥様の場合もそれ対応する手続きを弁護士を立てて行うことを主張すべきでしょう。
 
3)有責配偶者から協議離婚の申し入れをする場合
 この場合は、不貞行為等婚姻関係を維持できない事由を犯した者から、協議離婚をしたいと申し入れる行為は、一般的には道理にかなっていません。しかし、罪を犯したものも一部の魂がることを思えば、そこを主張できるのは弁護士しかいません。いわゆる虫が良すぎる話だからです。このようなもともと紛争性のある事案は、弁護士にご依頼してください。
 
 この場合円満に有責配偶者からの協議離婚請求が合意に達すればよいですが、一方当事者は、自己の主張を整理され、請求事項を相手方に伝えることが必要です。
 
 訴訟行為で不貞行為者の事実を裁判所で露呈することは、相手方にとって不都合なことだと思います。そのことをちらつかせながら交渉するのも脅迫と捉えられない範囲でありかなとは思います。