2019/9/22

離婚・離縁-3.離婚に基づく財産分与請求書

*離婚・離縁についての法的対応

3.離婚に基づく財産分与請求書

*ここで、ひとつ申し上げたいのは、婚姻中の男女が離婚と財産分与の知識を持つということは、日常生活に当事者の意識のなかに齟齬が生じるのではないかといことです。

例えば、現在様々なことがあっても婚姻継続中であり、今後も離婚など婚姻を継続し難い事由が起こらないときに、財産分与の知識を得た場合、今までの婚姻生活のなかに打算や目に見えない誤りが生じるのではないかと懸念される。

情報は、想定外という事態を極力少なくするためにもっいることが必要なことであることは、予防法務を提案するわが身にとって最もなことであるが、婚姻という見知らぬ者同士が一緒になり、人生を積み重ねていく上において、初めてのこと、知らなかったことなど予期せぬことが起こることは当然予想されるし、そのことは、逆に知ることによって、許しや許容の範囲を広げていく場面ではないだろうか。

もし、財産分与の知識が十分であり、夫婦生活を冷静に見ていくならば、夫婦の行いの全てが、財産分与のための婚姻継続し難い事由となり、協議離婚などへ向かう縁由となることであろう。それでいいのだろうか。

我々は、離婚をするための知識を提供するのではなく、今、婚姻生活に重大な危機のある方に少なくとも人生を笑顔で進んで戴くための情報を提供するものであり、軽率に知識の投げ売りは様々な問題を増長させることになろう。

従って、今婚姻生活に危機のある方には、ぜひ読んで戴きたい情報をご提供します。

 そこで、離婚に基づく財産分与請求において、いくつかのパターン化をしました。

1)離婚後協議を求める場合

<参照条文>民法

第768条(財産分与)

1.競技場の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

2.前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議することができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りではない。

3.前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与させるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

 今後の交渉でお互いに前向きに合意に達することができる場合は、行政書士でもいいと思いますが、争いごとになると思われた場合には、弁護士にご依頼されると良いと思います。

)協議離婚に同意し財産分与の協議に入っている場合

財産分与は、現在当事者一方名義になっている不動産・現金預金、有価証券などの分与方法だけでなく、婚姻後に得た絵画、陶器、貴金属など一切の物が対象となります。

 特に現在会社に勤務し、退職予定の方が一方当事者の場合には、そのときに受ける退職金の分与請求も行えます。これに対しては将来の退職金は不確実な要素があり、財産分与の対象とはならないとする見解もありますが、民法第768条2項により家庭裁判所に訴えを請求することができます。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りではないため、期間はくれぐれも気を付けてください。なお、請求金額については、通常二分の一を請求しますが、割合によっては、訴えによらず合意するケースもあります。

3)現在協議離婚について話し合いを行っているが、財産分与、慰謝料以外についての希望を主張する場合

①これは、年金の一部を毎月支払うよう請求する場合です。

 この場合は、財産分与請求者が年金をもらっていた場合には、その額を差し引いた額の二分の一を死亡するまで支払うようせいきゅうすることはできるでしょうが。自分も年金をもらっていて、その金額が当事者の年金より多い場合は、請求できないことは要注意です。

宝くじや競馬など賭け事で得た当選金を夫婦共有財産として分与を求める場合(例えば、不動産や預貯金)

 この場合は、賭け事で得た当選金は、その賭け事の購入代金は、婚姻後に得られた収入の一部であるし、当選金を原資とする資産は夫婦の共有財産であるとするものです。だいたいその4割くらいが請求額のようです。

 この請求後、相手方が同意しない場合には、弁護士を立て、裁判所に請求することが賢明だと思います。

抵当権が設定されたマンションを取得した場合

 離婚後、共有不動産に住んでいる場合、このような状態の不動産を取得することは適当でないため、他の資産などと評価額を考慮して、現金を取得する財産分与の仕方で共有財産の不動産処理を行う。

 

詳細は参考記事をご覧ください

<参考記事> 

40代からの離婚。財産分与について確認すべきポイントとは?
執筆者 : 新井智美
https://financial-field.com/living/2019/09/20/entry-57207
最近は共働きの夫婦も増え、女性の経済力も増してきています。もちろんそういった背景だけが理由ではありませんが、昔と比べて離婚の件数も増加しています。そういった中、離婚が決まった際の財産分与について、確認しておくべきポイントについてまとめました。

離婚を考えた際に最初にするべきこと
離婚に踏み切るにはさまざまな理由があります。家と家との関係性もありますし、今後の不安などさまざまな理由から離婚を考える方も多いでしょう。確かに嫌な思いをしながら結婚という契約を続けていくよりは、きっぱりと解消してしまうという考え方もあります。

ただ、大切なのは「離婚を急ぎすぎない」ということ。特に離婚後の財産分与についてはしっかりと話し合って決めてからにしないと、後々問題になるケースもあります。

今現在の夫婦共有財産にはどのようなものがあるのか。もし子どもがいるのであれば親権や養育費はどうするのか。そういったさまざまな問題をきちんとクリアしてから、離婚届を提出するようにしましょう。

一番重要な養育費
もし、現在子どもがいてその親権を自分が持つのであれば、相手側には養育費が発生します。これは法律で「その子どもが20歳になるまで払わなければいけない」と明確に決められています。

しかし、現実は養育費の取り決めが曖昧なまま離婚したり、もしくは取り決めたとしても払ってもらえなかったりするケースが多くみられます。

厚生労働省が発表している「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(平成28年11月1日現在)」によると、離婚時に養育費の取り決めをしている割合は約43%と、取り決めをしていない割合の方が過半数を占めています。

養育費でその後の生活が困らないように、きちんと調停や裁判などで対応してもらうようにすることが大切です。

養育費を払ってもらえない場合はどうすればいい?
調停もしくは裁判にてきちんと公的な処置を行ってもらう必要があります。例えば調停離婚であれば「調停証書」、裁判離婚である場合では「判決書」が存在しますので、養育費が支払われない場合はきちんと裁判所に対して「履行勧告」といわれる支払い勧告をしてもらう必要があります。

他にも支払いを命じる「履行命令」や相手側の預貯金などの資産や給料などの財産を差し押さえる「強制執行」も利用できます。しかし、これができるのは離婚の際にきちんと公正証書を作成しておく必要があります。

勢いで離婚してしまったものの母(父)子家庭になった際は、今まで以上に自分の費用負担がのしかかってきます。こんなはずじゃなかった、と後悔することのないように離婚するまでにきちんと細かいところまで話し合い、それを公的な証書で残すようにしておくことが大事です。

離婚の際に確認しておく財産分与のポイント。
離婚の際の財産分与について、公正証書に記載できる内容は、前述の養育費だけにとどまらず、「年金の分割」や「将来受け取る退職金の分割」にまで広がります。

まず、必ず確認しておきたいことは
1.自宅はどうするのか?(持ち家の場合)
2.養育費の額および支払期間
3.今後子どもにかかる教育費はどちらが負担するのか?
4.夫婦お互いの共有財産はどのようなものがあるのか?
5.年金および退職金の分割について
6.慰謝料について
7.離婚が決まるまでに別居期間がある場合、その間の費用はどうするのか?
などです。

財産分与については、いかに相手の保有資産を細かいところまで把握できるかがポイントとなります。

離婚は結婚と同じく、人生の中での通過点です。結婚時もそうであったように、それからのライフプランをどのように組み立てていき、それに対してどのくらいの資産が必要なのか、将来を見据えて話し合うことが大切です。

出典 厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」

執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員