2019/10/4

民泊、新法施行1年で廃業続出

*民泊、新法施行1年で廃業続出

<ポイント>

1.手間がかかるし、稼働率も悪い。全然、儲けにはならない

2.宿泊日数・宿泊者数とも東京都、北海道、大阪府が圧倒的に利用されている

3.民泊施設は、「人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えないもの」と民泊新法で定められているため、宿泊施設として稼働できるのは1年のうち約半年に制限されている

 このことは、最初から予想されていたのではないか。私は、2018年4月民間認定資格で民泊適正主任管理者資格を取得したが、当時は民泊に対する期待があったのだが・・・、

 宿泊日数が180日を超えないという制限がある限り、好転することは考えられない。来年のオリンピックに合わせて、業界団体はアプローチをしているだろうが、今のところ、規制解除はなされる予定はない。

 このまま、日本での民泊事業は衰退するのだろうか、観光立国などという後進国政策ではなく、先進国としての日本の魅力が世界に広げることのために、民泊を利用するならば民泊事業は、地方へ新しい波及することもありうる。特定地域だけへの偏りは、単に宿泊をホテルの代わりとしか考えない行政的な発想のように思える。

 民泊が日本に定着してこそ、日本文化の再発見になるのかもしれない。

詳細は参考記事をご覧ください。

<参考記事>

「手間かかり全然儲からない」…民泊、新法施行1年で廃業続出、細かすぎる規定が障害
文=鷲尾香一/ジャーナリスト
https://biz-journal.jp/2019/10/post_121013_entry.html
ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2019/10/post_121013_entry.html
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「いやー、手間がかかるし、稼働率も悪い。全然、儲けにはならないね。廃業も検討しているよ」

 結婚を機に別に自宅を取得したことで、埼玉県さいたま市の結婚前に住んでいた自宅マンションを民泊施設として有効活用している知人の男性医師は、こう話す。昨年6月15日に「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が施行されて1年。民泊事業では、需要の濃淡が明確に表れ始めているようだ。

 観光庁の公式ウェブサイト「minpaku」によると、8月15日時点の民泊事業の届出件数は1万9436件、民泊管理業の登録件数は1816件、民泊仲介業の登録件数は70件となっている。

 この1年超で民泊事業の届出件数は、民泊新法施行日の昨年6月15日の約8.8倍まで着実に拡大しているものの、事業廃止件数も1325件あり、実際の届出住宅数は1万8111件となっている。

 一口に民泊といっても形態は多様だ。そこで、まずは民泊の種類を整理しておこう。民泊新法施行前から民泊は行われている。これは主に、イベント民泊、体験民泊といわれるもので、たとえば農業体験型民宿や漁業体験型民宿などが該当する。

 これに対して、民泊新法で新たに認められたのが、自宅などを宿泊施設として提供するもので、家主居住型(居住している家に宿泊させる)と家主不在型(居住していないマンション等の空室を宿泊施設として貸し出す)などがある。

 民泊における「住宅宿泊事業」は、「旅館業法第3条の2第1項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業」と規定されており、宿泊施設には以下の措置が求められている。

(1)居室の床面積は、宿泊者1人当たり3.3平方メートル以上を確保

(2)非常用照明器具を設ける

(3)避難経路を表示する

(4)火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置を講じる

(5)外国語を用いて、届出住宅の設備の使用方法に関する案内をする

(6)外国語を用いて、移動のための交通手段に関する情報を提供する

(7)外国語を用いて、火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内をする

 さらに、宿泊者の本人確認を行った上で宿泊者名簿を作成し、宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号を記載する。また、宿泊名簿は3年間の保存義務がある。

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宿泊施設の利用状況についても、届出住宅ごとに、(1)届出住宅に人を宿泊させた日数、(2)宿泊者数、(3)延べ宿泊者数、(4)国籍別の宿泊者数の内訳を2カ月に1回、都道府県知事等に報告しなければならない。このほかにも、民泊施設であることの標識を掲げることや、騒音防止・ゴミ処理などへの配慮、苦情等への対応などについて、細かな規定が設けられている。

 加えて、地方自治体によっては民泊に関する条例を制定しているため、この条例で定められたルールに従って民泊を運営する必要がある。2019年4月1日時点で全154自治体のうち、区域・期間制限を含む条例を制定している自治体が54、区域・期間制限はせず、行為規制のみの条例を制定している自治体が4ある。つまり、自治体によっては、民泊を営める区域や期間が定められているということだ。

地域間で濃淡
 こうして見ると、知人の言った「手間がかかる」は相当なものであることがわかる。これだけの手間をかけて民泊を開業しても、民泊が利用される地域には、かなりの濃淡がある。最新の民泊宿泊実績である2019年6・7月実績(届出住宅数1万8004件)によると以下のようになっている。
最新の民泊宿泊実績である2019年6・7月実績(届出住宅数1万8004件)


 以上のデータでわかるように、宿泊日数・宿泊者数とも東京都、北海道、大阪府が圧倒的に利用されている。この3都道府で宿泊日数では全国の約72%、宿泊者数では同約62%を占めている。特に東京都は宿泊日数で全国の約42%、宿泊者数で同約34%を占めており、“一人勝ち”の状態にある。また、届出住宅あたり宿泊日数も最上位の東京都は最下位の岩手県の6.8倍も利用されており、届出住宅あたり宿泊者数では最上位の山梨県は最下位の島根県の5.5倍も利用されていることになる。

 これは、宿泊利用者のうち海外からの宿泊者が76.9%を占めており、外国人観光客の利用目的に左右されているところが大きい。ちなみに、宿泊者の国別では、中国28.1%、韓国14.3%、米国10.9%が上位3国で、この3国で全体の約53%を占めている。

 実は冒頭の知人が「稼働率も悪い」と言った要因は、前述したように利用される都道府県が東京都、北海道、大阪府に集中している点だけではない。民泊施設は、「人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えないもの」と民泊新法で定められているため、宿泊施設として稼働できるのは1年のうち約半年に制限されている点もある。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、宿泊施設の増加は大命題となっている。民泊新法施行から1年を経過した現在、より効率的で有効な民泊のあり方について見直しを行う必要がありそうだ。

(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

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