2024/3/6

特定技能、5年間で最大82万人受け入れ見込み!

毎日新聞の記事によると、政府は2024年度から5年間で最大82万人の外国人労働者を「特定技能」の在留資格で受け入れる見込みであることが明らかになりました。これは、2019年の制度導入時に設定された5年間の受け入れ見込み人数の2倍以上であり、人手不足が深刻化する中、外国人労働者への依存がさらに強まることが予想されます。特定技能には、通算5年の在留期間を持つ「1号」と、熟練技能を要し、家族帯同で無期限就労が可能な「2号」があります。政府は、23年8月に2号の対象分野を2分野から11分野に拡大し、全12分野で永住の道を開く仕組みを整備しました。また、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野を新たに追加することも検討しています。外国人労働者の受け入れ拡大には、受け入れ企業による日本語研修や教育訓練の実施、外国人労働者の家族への生活支援など、新たな社会的課題が生じることが予想されます。
【コラム】
日本政府が、2024年度からの5年間で最大82万人もの外国人労働者を「特定技能」の在留資格で受け入れるという計画を発表しました。これは、2019年の制度導入時に設定された見込み人数の2倍以上です。一見すると、政府が人手不足の解消に向けて前向きな姿勢を見せているように思えますが、この計画の背後には、深刻な問題が潜んでいます。
まず、外国人労働者への依存度が高まることで、国内の労働市場にどのような影響を及ぼすのか、政府は真剣に考えているのでしょうか。外国人労働者を単なる「人手不足の穴埋め」として見るのではなく、彼らが日本社会に溶け込み、長期的に貢献できるような環境整備が必要です。しかし、現実は、多くの外国人労働者が低賃金で雇用され、適切な支援や教育を受けられずにいる状況です。
さらに、特定技能の在留資格には、「1号」と「2号」があり、後者は熟練技能が求められ、家族帯同で無期限就労が可能です。政府はこの「2号」の対象分野を拡大し、永住の道を開く仕組みを整えたとはいえ、実際にはそのような熟練技能を持つ外国人労働者がどれだけいるのか、また、彼らが日本で長期的に働きたいと思うのか、疑問が残ります。
政府は、外国人労働者の受け入れ拡大に伴い、受け入れ企業に日本語研修や教育訓練の実施を求めるとしていますが、これが形式的なものに終わらず、実質的な支援につながるのか、見守る必要があります。また、外国人労働者の配偶者や子どもへの生活支援も重要な課題です。彼らが日本社会で孤立せず、安心して生活できる環境を整えることが、長期的に見て日本の国益にもつながるでしょう。
このように、政府の外国人労働者受け入れ計画は、表面的には人手不足の解消策として機能するかもしれませんが、その実態は、短期的な利益を追求するあまり、長期的な視点が欠けていると言わざるを得ません。外国人労働者を真に受け入れるということは、彼らが日本社会の一員として尊重され、支援されることを意味します。政府は、その責任を真剣に受け止め、単なる「人手不足の穴埋め」ではない、持続可能な社会を目指すべきです。